2023年度第2回(通算第12回)大学教育リデザイン研究会
不本意入学研究と今後の大学入試-18歳人口減少社会のなかでの受験生たち-
日時
2023年12月4日(月)17:30-19:00
場所
岡山大学(津島キャンパス)一般教育棟A44教室 *Zoom配信も行う
講師
竹内 正興 氏(香川大学 アドミッションセンター長 教授)
内容
不本意入学と耳にして思うことは何でしょう。イメージしやすいのは、第一志望の進学先に合格できず入学してきた学生たちかもしれません。志望順位が受験時の本意と見合っていれば問題なさそうですが、必ずしもそうとは限らないのが進路選択でもあります。本当はあの大学(学部、学科)に入りたかったけれども、何となく偏差値の上位が良い進路なのだろうと考えて、本意でないにもかかわらず入学してきた学生たちもいるかもしれません。受験生の本意について考えさせられる問題といえるでしょう。
受験生の進路選択行動と情緒、進路指導、周囲の期待、大学の募集活動と入試内容などの混沌について、アメリカの作家が既に表現しています-大学入学当時の学生は、本当に無邪気で、親や教師に導かれ、あるいは強いられて大学に進学したというのが一般的である。それは個人的な分析にもとづく、現実的な知的野心に裏付けされた、慎重な選択ではないのである。-(J.キーツ 1970 仁科弥生訳『学歴病患者たち』(UP選書42)東京大学出版会)。アメリカにおける高等教育の変遷では、1970年代は、拡張・拡大、大衆化と摩擦による課題山積の頃です。
さて日本は、ざっと今から30年後の2050年に、大学入学者数が約50万人になるという推計があります。2050年の将来推計18歳人口は約80万人、大学進学率を60%程度とした計算です。大学進学率60%は、大衆化を超えてユニバーサル段階と呼ばれています。そのような状況へと向かうなかで、どのような変容が大学入学者選抜に求められるでしょうか。不本意入学を「研究対象」とすることで可視化される大学入学者選抜の課題、今後の大学入試について、本研究会では、研究成果を素材に、本学における実施・改善にあたっての新たな視点や課題の共有、組織的展開に向けた突破口を探ります。
その他
主催:教学企画室
対象:教育推進委員会委員をはじめ本学の教務関係者、アドミッション委員会委員をはじめ本学の入試業務関係者、教育改革設計委員会委員・教学企画室及び学務部の教職員、部局長ほか関心のある方
【参考】
2022年度学校基本調査:18歳人口は約112万人、大学進学率56.6%(過去最高)、大学進学者数は約63万人。