日本におけるライティング教育の展開と課題－鹿児島大学の実践から導く示唆－

日時

2023年5月16日（火）16:30-18:00

講師

伊藤 奈賀子 氏（鹿児島大学 学術研究院総合科学域総合教育学系 准教授 / 総合教育機構高等教育研究開発センター長）

内容

　日本の大学においてライティング教育は、これで解決したと言えることの難しい、継続的な課題といえるでしょう。文章表現力を鍛えているのか、思考力を鍛えているのか。学士課程初年次の導入教育なのか、専門教育まで含む教育課程を通じた教育なのか。大学入学後に出会う「レポート」という課題を発端に、学生と教員は様々な物議をかもしてきました。
　それらの課題への対応として、教育課程の課題では授業科目の配置、組織的な課題ではライティング・センターの設置といった事例が数多く見られます。とはいえ、それら対応策も、授業担当教員やセンター長の志向によって様々な形態を見せているというところがあり、表層的な他大学事例の導入では上手く機能しないことがままあります。こうしたライティング教育の変遷を追うことが、日本における大学教育の変容について考えられるかもしれないくらいの有様です。
　本研究会の講師は、日本におけるライティング教育の在り方を長らく概観してきたうえで、本務校での授業実践へカスタマイズし展開してきました。本研究会では、鹿児島大学の授業実践を題材に、本学における実施・改善にあたっての新たな視点や課題の共有、組織的展開に向けた突破口を探ります。