2022年度第4回(通算第8回)大学教育リデザイン研究会
質向上と内部質保証をマネジメントする組織は、これまでの組織と何が異なるのか
日時
2022年9月15日(木)16:30-18:00
講師
立石 慎治 氏(筑波大学 教学マネジメント室 助教)
内容
筑波大学の教学マネジメント室は、2020(令和2)年4 月に発足した比較的新しい組織です。同年に大学院課程を学位プログラム制へ全面移行し教育改革を進める筑波大学は、教育の質保証を担う組織のひとつとして「教学マネジメント室」を設置したところです。具体的には、教育改革後の、各学位プログラムのモニタリング(毎年の自己点検)とプログラムレビュー(数年おきに実施する総合的な点検・評価)、それらの推進に資する質向上施策の展開をミッションとしています。
改革というと、新規性のあるものや流行のメニューを導入することに着目しがちです。しかし、質向上や内部質保証が求められる昨今では、改革後の検証・改善システムを、その当初からビルトインしておくことが極めて重要です。その改革の成果を学外・学内に対して挙証することが数年後に必要となるからです(検証・改善のための制度が自らを検証・改善するための仕組みを欠くわけにはいきません)。
大学設置基準の大綱化以降、FD 等の教育力向上をセンター系の組織が担うようになり、全学に波及する教育改革プラン(特色GP 等の申請)をも描く企画室のような組織が登場。大学評価の時代到来による大学評価情報を集約できる組織IR、そこから進んで、学習成果可視化の要請による教学IR、これらIR 組織の発足。大学教育改革を支える組織は、時の施策に対応しその形態と機能を変えてきたように見えます。今や、質向上と内部質保証の統合的な展開が求められ、エビデンスベースの流れを含んだ、新たな推進組織が必要になってきたといえるでしょう。
本研究会では、筑波大学教学マネジメント室を題材に、本学における展開の先にある新たな組織モデルを構想すべく新たな視点や課題を深く共有し、組織的展開に向けた突破口を探ります。