2024年度 第1回(通算第16回)大学教育リデザイン研究会

東京工業大学における「女子枠」導入への期待

日時

2024年7月31日(水)16:30-18:00

場所

岡山大学(津島キャンパス)一般教育棟A44教室 *Zoom配信も行う

講師

井村 順一 氏(東京工業大学 理事・副学長(教育担当))

内容

 大学入試における女子枠が増えています。十年一昔とはよく言ったもので、九州大学が理学部数学科で導入しようとしていた「女性枠」を断念したのは、2011年5月のことです。発表後に批判が殺到し、撤回が決まったと当時の新聞記事は伝えています。その記事は次のように締めくくられています。

受験戦争が厳しいこともあり、日本人は入試に極端なほどの潔癖さを求める。だが、公平性を意識しすぎると、一見客観的な点数への依存が強まり、永遠に入試は変わらない。大学に国際標準を求めるのであれば、社会の入試観も変わらざるを得ない。(日本経済新聞 2012.10.24)

 九州大学の事例は、一般入試後期日程へ制度導入しようとして断念したものです。ここ数年で再び注目が集まり、女子枠設置を見て取れるのは工学部が先鞭です。例えば、名古屋大学工学部(2023年度)、東京工業大学(2024年度〜)、名古屋工業大学(2024年度に増員)、京都大学理学部・工学部(2026年度)などは、いずれも総合型選抜や学校推薦型選抜での導入です。奈良女子大学工学部(2022年度)やお茶の水女子大学共創工学部(2024年度)の新設も見逃せないでしょう。
 これら動向の背景には何が潜んでいるのか。日本における産業競争力強化と研究開発力の停滞、イノベーション実現に対する期待、それを生み出す切磋琢磨を支える多様性の確保、入試におけるアファーマティブ・アクションなど。どれをとっても、短期的に成果が見えてくるとは言い難いものばかりです。
 本研究会では、東京工業大学理事・副学長(教育担当)をお招きし、制度導入に対する期待などについて語っていただこうと考えています。本事例を素材に、本学における導入・実施にあたっての新たな視点や課題の共有、組織的展開に向けた突破口を探ります。

【参考】
松岡亮二「学生構成の均質化への対策:アファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)」『【均質化する東京の難関大】出身地域の多様性低下、その背景と影響を読み解く<中編>』(2024年4月4日)
東京工業大学「新しい総合型・学校推薦型選抜(一般枠・女子枠)をご検討の方へ」
リクルート進学総研「D&I推進のフラッグシップたる女子枠導入/東京工業大学」(2024年3月25日)
旺文社教育情報センター「大学入試の女子枠 2024年入試で増加!-工学系、理学系で女子枠の導入続々-」(2023年12月1日)
日本経済新聞「幻の「女性枠」 多様性を新たな基準に」『(大学開国 第5部 入試は変わるか(4)』(2012年10月24日)
ベネッセ教育総合研究所「国立大学の「女子枠」はアリ? 全入時代の入試」(2011年6月16日)

その他

主催:教学企画室
対象: 教育推進委員会委員はじめ本学の教務関係者、アドミション委員会委員はじめ本学の入試関係者、教育改革実施準備委員会委員・教学企画室及び学務部の教職員、部局長ほか関心のある方

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